家族への想い
小さな命に感謝の願いを込めて…
両手のひらにすっぽり収まるほどの小さな命が我が家にやってきたのは2000年4月のこと。2月生まれのミニチュアダックス。犬を飼うことを2年近く悩み続けた上の決断だった。名前はダンク。両親犬がドイツ生まれだったので、ドイツ語の「感謝」の意味を込めた。体は小さくても猟犬。元気いっぱいが当たり前と思っていたが、小さなころから体が弱く、お腹をこわすことなどしょっちゅう。4歳の時にはてんかんを発症した。
しかし、この病気をきっかけに改めて犬の病気や健康管理、食事、しつけなどについて勉強することになり、少しでもダンクの役に立てばとさまざまな資格も取得した。その知識がダンクのために活かせたかどうか…。仕事が忙しかったのでずいぶん寂しい思いもさせた。最後1年くらいは病院通いが続きストレスも多かったと思う。今思えば後悔だらけの13年の共同生活を経て、それまでの闘病生活が嘘のようにあっけなく旅立っていった。
6年前のあの日、ダンクの亡骸を自分の手で荼毘に付し、こんな辛さがあるだろうかと絶望した。自分の意思で飼った初めての犬ということもあり、思いが強くただただ悲しい。どんな慰めの言葉をかけられようと何も心に届かなかった。仕事を終えて家に帰ると風呂の中で毎晩号泣していた時期もある。それでも、毎日同じ悲しみの中にいるご家族に接して想いを共有することで、その悲しみがほんの少しづつ癒えていった気がする。「悲しいのは自分だけじゃない」。そのことに気付いたことでダンクの死を受け入れられるようになっていった。それでも「もう犬は飼わない」と決めていたが、これがまたどういう縁か現在2代目犬がいて、毎日一緒に出勤している。またいつか必ずくる別れのために何ができるのか-。毎日いっぱい目を見て会話すること。どんなことでもいいから毎年目標を立てて一緒にクリアすること。いなくなって初めて知る存在の大きさに打ちのめされないために、元気で1日をスタートできることに感謝してたくさん楽しむこと。簡単だけどつい忘れがちなことが案外一番大切なのではないかと思う。
今、このページをお読みいただいている方は、まさに悲しみのどん底にいるかもしれません。うわべだけの慰めの言葉はかけられません。通用しないことは自分が一番知ってるから。でも、これだけは言えます。「あなただけじゃない」。ちょっとだけ顔を上げて周りを見て下さい。一緒に悲しんでくれる家族や友人がいるはずです。小さな家族との楽しい思い出もいっぱいあるはずです。今は無理。でも大丈夫です。いつか必ず笑顔で話せる時がやってきますから。
令和元年9月1日
ペットの郷龍ケ崎
代表取締役 友野 香奈子